国土交通省の「建設工事受注動態統計」データ不正

2021年末、国土交通省が毎月公表する「建設工事受注動態統計」でデータを二重に計上していたことが発覚しました。調査票を建設業者から集める都道府県に対し、受注実績を実質的に書き換えるよう指示していました。2013年度以降、不適切な対応が続いていたとみられます。


問題が発覚した統計は国の基幹統計の一つで建設業の毎月の受注実態を示すものです。全国の約1万2000社を抽出して調べており、20年度の総額は79兆5988億円でした。


建設業者は毎月1カ月分の調査票を提出するのが原則。期限に間に合わない業者は前月分など過去の調査票をまとめて出すケースがあったといいます。この際、国交省は過去データを合計し、1カ月分として記入するよう都道府県に要請していました。説明会などを開いて具体的な手法を指示していました。

約1万2000社のうち1割程度は期限に間に合わずに提出していたといいます。

一方で13年度以降、60%程度の回収率を100%相当に換算するため、未提出のデータを推計値で埋める補正処理を導入しました。その後に業者から遅れてデータが提出された場合、推計値との二重計上が生じていました。


21年4月に推計方法を見直し、二重計上はなくなった、とのこと。

当該統計は国内総生産(GDP)の算出などにも使われる重要性の高いものであり、他の統計プロセスの見直しの必要性を問うものとなりました。