日本製鋼所M&Eによる品質不正行為

日本製鋼所の子会社である日本製鋼所M&Eにおいて品質不正行為が報告されています。


2022年11月14日、同年5月9日に公表した同社子会社の日本製鋼所M&Eの品質不正に関する特別調査委員会の調査報告書の内容と再発防止に向けた取り組みについて発表しました。


特別調査委員会は、室蘭製作所で行われた不適切行為について「改ざん」「捏造(ねつぞう)」「不正検査」「虚偽記載」「未報告」の5つに分類し、認定を行っています。

顧客の要求仕様から逸脱する検査数値を、仕様の範囲に収まる数値としていた。こうした不適切行為は遅くとも1998年から繰り返し継続的に実施されていたといいます。


2022年5月9日の発表時点では電力製品となるタービン、発電機用ローターシャフト、発電機用リテーニングリングの検査で不適切行為があり、その後2022年8月には鍛鋼製品の鍛造鋼管で、そして11月には、そこから新たに原子力製品、鋳鋼製品、鋼材鋼管製品、特機製品でも不適切行為が確認されたとのこと。ただし、不適切行為のあった製品全般において、現時点で品質や性能に影響する問題は確認されていないといいます。


なお、原子力製品の不適切行為については「いずれも製造工程において生じた突発的な事象に端を発した応急措置的な事象がほとんどであり、本来、顧客に報告、相談すれば問題とならない事象について、これを報告または相談せず糊塗したことによる不適切行為であり、顧客が要求する手続仕様からの逸脱である」「顧客の要求値から逸脱した製品がないことを個別に確認している」としており、原子力発電所の操業に影響はないとみられています。


室蘭製作所で不適切行為が生じた主な原因としては「製品部への権限集中と工程品質に関わるコンプライアンス意識の低さ」「経験・実績への過信と顧客要求・対話へのプレッシャー」「紙ベースや手作業を中心とした検査業務プロセスと慢性的な人員不足」の3つを挙げています。また、室蘭製作所のでみ不適切行為が生じた原因としては「製品部(技術者集団)を頂点・司令塔としたモノづくり」「機能分社による子会社化の歴史と従業員間の意識の壁」が背景にあったとしています。